When it’s ready.

出来るまで出来ない

ダークな糸

帰国しました。日本は乾燥しすぎない空気でのどの調子が良くなると思ったけどそうでもなく、とりあえづおとなしくしています。
といいつつ、向こうで観たIMAXのダークナイトの理解がイマイチなので、六本木バージン7番でダークナイト観てきました。切ない部分が多すぎてちょっと元気が出るバットマンじゃないけど、過去最高の売り上げというのも納得の出来だった。ツーフェイスの唇の除去と目玉の動きが、個人的には凄いなぁとビビってた。

今回シーグラフに居って様々なプロダクションの人たちと話をしてみて、日本のゲーム業界(これも分業がかなり進んでいる方)と比較しても段違いに分業がはっきりしている。なんでそんな事が可能なのか?なぜそんな必要があるのか? 私なりの理解をしてみた。
いろんな話をまとめると、完全なウォーターフォールで製作を行っていると言う事だった。
以下に、人ごとの作業に分解してみた。

  1. プリプロダクションで、動画コンテが作成される。(ここでは、様々な試行錯誤があるが大まかな動きモデル質感なのでお金は掛からない)
  2. 動画コンテを元にモデリングが始まる
  3. 必要な表現技法が開発される
  4. テクスチャーが貼られ、ライティングされる
  5. アニメーションが付加される
  6. VFX班が必要なエフェクトを追加される
  7. 各パス毎にレンダリングされる
  8. 合成作業

大いに誤解があるが、大体以上のような作業工程で作成されている。各工程には、それぞれ個別の担当者が付く。全体を通してスーパーバイザーと呼ばれる人が数名付く(監督含まず)。1番の設計図に従いそれ以下の作業は全てすすむと言う事だった。例え5番のアニメーションの段階で設計よりいい動きを見つけても1番とずれているとそれはNGらしい。切なすぎる。マミー3もスピードレーサーもそうらしい。

各アーティストの賃金は時給で計算される為にどれだけ残業を減らすかがマネージメントの腕の見せ所で、7番くらいの作業になりモデリングが終わり始めるとモデリング班の人々には次々と終了が告げられ完成まで見る事が出来なかったり、逆にインフェルノ班はギリギリまで招集されずにラスト1ヶ月辺りで大量に導入され一気にコンポしていく。人員を使い回すという事があまり考慮されてない。出来る事を出来る範囲内で最大速度で高精度で出来る人が求められていると感じた。

日本と全然違う。
個人個人の出来る作業範囲が狭すぎる。モデリングの人はホントにモデリングしか知らないし、ライティングの人はライティングしか知らない。どうやってそこの技術だけを身につけたのか不思議に思うくらいスペシャリストになっている。他にも、レンダリングサーバーのバッチの管理者が居てランクを毎日付ける担当も居るとの事、凄すぎる分業。
日本だと、何でも出来る人が当然でその中で担当があってそこの範囲をやるのであってそこだけしかできないという人は少ないと思う。よって、ナニカの事情で忙しくなった際にはお互いに多少の補完をし会えるというメリットがありそれは、成果物の説明が要らなかったり素材データの置き場所の伝達が要らなかったり他にも少数精鋭で制作するメリットというのが多分にあると思う。
CGを作っている現場のレベルは(特に個人は)日本の方が優れている。

圧倒的に違うのはマネージメントの仕組み
ー続く